言葉

最近良く読んでる作家さん、「小出鞠るい」さん。

『エンキョリレンアイ』
『ふれていたい』
『欲しいのは、あなただけ』 などなど。

恋愛モノが殆どで、やけど、ドロドロしたり、
ベタベタしたり、そんな重たい話じゃなくって、
可愛らしい、ほんわかした感じの小説かな、どれも。

で、最近読んだのが『猫の形をした幸福』

孤児院で育った日系アメリカ人の男性と、
子宮を全摘して子供が産めない体の女性とが、
お見合いで一目ぼれして、翌日には結婚の約束して、
アメリカで暮らしていくっていうお話。

子供は作れないから、猫を飼って、その猫をわが子の
ようにして一緒に3人で生活していく。

子猫が大きくなって、別れがあって・・・っていう
そんなお話。

本の説明にはこんな風に書かれてた↓


☆わたしが愛すべき、
 わたしに愛されるべき空洞が、
 あなたの心にはある

 恋愛小説の名手がつづる、渾身の一作。
 ふたりと一匹の、魂の絆の物語


 ふたりの人間がいて、
 ふたりは別々の人間で、
 決してひとつにはなれない、
 ふたつの体と心があって、
 でもそこには同じ一匹の生き物が棲んでいる。

 生きるうえで、無傷ではいられなかった二人が
 出会って結婚。二人は新居に一匹の猫を招き入れる。
 子猫はおとなになり、やがて――
 夫婦と猫のせつない物語。

物語のストーリーも好きなんだけど、
この本に出てくる文、言葉が好き。

何箇所かあったから、ここでご紹介。

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日本人の彼女が、日系アメリカ人の彼氏に、
ラブの意味を聞いた時、彼が言った言葉

●英語のラブは、日本語の「愛情」から「情」が
 すっぽりと抜け落ちたようなもの


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二人で新居に引っ越すとき、今まで引越を余儀なく
されてきた引越し上手の彼氏の荷物が少なく、
自分もこれからはすっきりさせていくと彼女が
言った時に彼氏が言った言葉

●俺の分まで、自分の好きなものを沢山集めて、
 いくらでも所有して、身の回りにおいて、
 できるだけにぎやかな身辺にすればいい。
 
 俺は、君が持っているものは、何でも好きだよ。
 形あるものも、ないものも

で、彼女が、形ないものとは何か尋ねると・・・

●君の性格。君の過去と、過去に流れた時間と、
 そこに残っている思い出と、未来の夢とか・・・


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彼女がアメリカの地で迎える初めての冬。
雪が降った。その時の彼女の表現

●晴れた朝には窓の外一面にダイヤモンドダスト
 金、銀、赤、オレンジの光の粉。
 曇りの日には雪原はブルーに染まった。
 夕暮れ時は紫に。 
 雪に白意外の色があることを初めて知った。


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そして・・・

一番好きな文はこれかなぁ。


●言葉には両腕がある。
 相手の身体を抱きしめ、背中を撫で、さすって
 あげることのできる両手が。
 あたたかく優しい手のひらが。


私、この部分を読んだとき、はっとした。
言葉に癒されたり、励まされたり、時には怒られたり
けなされたり、傷つけられたりする。

鋭利な刃物になって、ズバズバくる。

でも、両腕が生えてる、そう感じること、ある。

それが、手紙の文字だったり、電話の声だったり、
携帯の液晶画面に映し出される文字だったりするけど、
やっぱり、文字には両腕がある。

そう思うなぁ。

背中をさすって慰めてくれたり、
頭を撫でて褒めてくれたり、
手を握って励ましてくれたり。

そんな両腕があるなぁ、って思う。

・・・としんみりブログになってしまった(笑)

歳か・・・